よく患者様から「この新しく作った歯は何年ぐらいもちますか?」「保険治療の歯に比べてセラミックの方が長持ちしますか?」といったご質問をよく頂きます。
患者様にとって大変気になるご質問かと思われますが、様々な要因に左右されるためなかなか「この歯は5年もちます」や「セラミックなら10年はもちます」などと確定的な表現ではお伝えし難いのが実際です。できるだけ詳しくご説明するために、以下の点を考慮する必要があります。
1.土台となる歯=支台歯(治療対象の歯)の状態によるもの
“かぶせ”やブリッジなどを装着する歯を「支台歯(しだいし)」と呼びます。要は治療対象の歯のことです。4本の歯を治療する場合などは「支台歯が4本ある」とか、歯が一本抜けた状態で前後の歯2本を土台に使ってブリッジにする場合などは「支台歯が2本で3ユニット(歯3本分)のブリッジを作製する」などと我々は言います。
この治療対象である支台歯の状態により、「新しく作った歯」の状態が左右されます。
具体的には、虫歯がひどく進んでしまっている場合や何度も治療をくり返して歯の形がほとんど残っていない場合などは、支台歯の状態としては健全な歯にくらべ強度的にも劣ってしまいます。
また、歯周病(歯槽膿漏)が進んでしまっている場合は、新しく作った歯に関係なくその進行の程度により支台歯そのものが早期にダメになってしまう場合があります。
2.かみ合わせや習癖(くせ)によるもの
全く同じ状態の支台歯に全く同じかぶせの歯を作ったとしても、その方それぞれの歯並びや食べ物の嗜好習慣(硬いものが好きなど)、噛み癖や習癖(歯ぎしりやくいしばり)によってその歯そのものにかかる負担は千差万別です。 特に歯ぎしりやくいしばり等は歯にとって過度な負担になる場合が多く、まれに、かぶせたセラミックが、欠けたり割れたりすることがあります。そのような場合は、専用のマウスピースを作製いたしますので、夜装着されますようお勧めいたします。
3.“かぶせ”や“つめもの”の種類によるもの
かぶせやつめものの種類(=材質)によりその耐久性は異なります。耐久性は一般に“丈夫さ”や“硬さ”などと表現されますが、丈夫さや硬さを示す指標は理工学的にいくつかあり、圧縮力に強いものや衝撃に弱いものなど材質それぞれに特徴があります。ですので一概に「この材質がすべての力に対して丈夫」とはなりません。歯科材料はそれぞれの材質の特徴を生かし適材適所で用いています。
“丈夫さ”のあくまでもの目安としては「天然の歯」>「金属」>「セラミック」>「ハイブリッドセラミック」>「レジン」となります。歯の耐久性を考える上での目安とお考えください。
4.不意な力によるもの
転倒や事故、スポーツによる外傷、不意に硬いものを噛んでしまった場合など、歯に局所的に大きな力や衝撃が加わると歯が欠けたり割れたりといったトラブルが突然生じてしまいます。
列挙するとキリがないぐらいの要因がありますが、要はA様とB様に同じ場所・材質・形のセラミックの歯を同じ日に装着してもA様は15年もってB様は2年もったなどという差が生じる可能性があります。
artistic dental clinicでは皆様の新しい歯ができるだけ長持ちするように、治療の際には細心の注意を払い、常に予知性と安定性を考慮した治療に努めております。